お知らせ

2023年 新春特別講演を実施しました
講師:林野庁鈴木清史課長補佐

2023.01.25

新しく設立した当協議会の事業活性化のため、林野庁木材産業課鈴木清史課長補佐様に講師を依頼し協議会活動の意義・目標に繋がる国策につき講演頂きました。

講演タイトル:「日本の森林とツーバイフォー部材としての木材利用」
講師:林野庁木材産業課鈴木清史課長補佐

<講演要旨>
■日本の森林
 我が国の森林面積は国土の3分の2にあたる約2,500万ha(そのうち人工林は約1,000 万ha)が維持され森林率も高く維持され、且つ主要樹種の成長サイクルも短く世界有数 の森林国と言える。

■森林資源の現状
 主伐期を迎えている森林資源が長期に渉り増加している。一方、若い森林が少ないことから「伐って、使って、植える」 持続可能な森林経営のサイクルの構築が必須である。

■森林資源活用の現状と今後の施策
 国産木材の供給量は、平成14年を底に増加傾向にあるが、主として合板用材、燃料材の増加に負うところが大きい。林業・木材産業の整備の成果が現れはじめ、<林業の労働生産性>ならびに<国産材供給量>の向上が顕著であった。効果が大きいとされる製材用材は住宅着工戸数、輸入材の価格変動などの影響に左右され、結果、横ばい状態であった。
今後は木質建築の増加、内装木質化等を強化し、製材用材を中心に需要拡大を図らねばならない。そのため2021年、カーボンニュートラルへの貢献も見据え2030年までの目標を掲げた「森林・林業基本計画」が閣議決定された。

■「森林・林業基本計画」
 森林を適正管理し林業・木材産業の持続性を高めた成長を図り、<2050カーボンニュートラル>も見据えた豊かな社会経済を実現することを目的とした。
主な戦略は次の通り。
 ●建築用材の需要拡大
   ・主要な用途である低層住宅における活用拡大を図る。軸組構法では横架材・羽柄材
    の開発普及、ツーバイフォー工法ではJAS材の技術開発、ならびに供給促進。
    非住宅・中高層建築については木質系建築への移行を進める。
   ・そのため供給側の生産・流通の効率や安定化を促進するとともに消費者に対する
    木材利用促進の意義の伝達に努める。
 ●技術開発等の取り組み事例
    ・スギ大径木の効率的な製材方法
    ・ツーバイフォー工法向け横架材の開発
    ・内装材としての木質材料活用
 ●川上―川中―川下の実情に合わせたマッチング政策
   川上、川中において持続的に安定した供給を確保するためには色々な課題や必要条件
   を抱えている。このような課題・条件をそれぞれが抱えるのではなく、川上・川中・川下が
   サプライチェーンを構築し、相互利益を考慮した共有ルールのもと発展を目指す仕組み
   づくりが必要となる。
 ●輸入木材の影響を受けにくい需要構造へのシフト
   ウッドショックでは国内生産フル稼働でも需要に追い付けない状況であったが、
   今後は原木の低コスト化、安定的供給、並びに木材加工施設の大規模化・高効率化を
   図り木材製品の国際競争力を強化し国産材のシェアを拡大することにより、輸入木
   材の変動の影響を受けにくい需給構造へシフトする。
■ 最後に
 地域による樹種の構成が違う事、需要拡大のため要求される製品のサイズが変わる 事などから新たな課題も発生するが、林野庁も支援事業を強化し、前述のとおり <相互利益の拡大を目指す強力なサプライチェーン>の構築を実現していく。